高齢化が進み、高齢社会に突入している日本社会。地域密着で戦後の成長を支えてきた小さな町工場や個人商店をはじめとした中小零細企業の社長。高齢化に伴い、当然に進んでいるであろう経営者(社長)の年齢状況を見てみましょう。
下図は、2015年11月東京商工リサーチ-全国社長の年齢調査結果です。
2015年時点、全国社長の平均年齢は60.89歳です。2010年以降2015年に至るまでの5年間で1歳弱しか高齢化していません。日本社会の人口高齢化や高齢者割合に比べれると、すこしビックリな数字です。
若い起業家は減っていると言われています。世代交代、いわゆる事業承継はあまりうまくいっていないと言われています。それなのに、意外にも社長の高齢化のスピードは緩いです。
さて、感の鋭い皆さまは、既にお気づきのことだと思います。
次に企業に関する数字の中から、倒産件数の推移を見てみます。左図は、全国倒産件数の推移(東京商工リサーチHPより抜粋)です。
各年でブレがありますが、特徴的なのは以下の2つです。
@バブル崩壊後の1990年代中旬から2003年の間に倒産数が増えていること
Aリーマンショックの2009年以降、倒産件数が減っていること
細かい理由には触れませんが、倒産件数は減っているという推移です。
なにか腑に落ちません。若者の起業数が減っており、倒産件数は増えていない、さらに事業承継による社長の世代交代も進んでいないとしたら、社長の平均年齢はもっと上がっているはずです。
どいうことなのでしょうか?
実は、倒産企業数には、休業・廃業・解散は含まれていないのです。
下図は、倒産件数に休業・廃業・解散企業数の推移を並べたものです。
一目瞭然ですね。
倒産・休業・廃業・解散を合算すると、まさに企業を取巻く現在の経営状況がそのまま浮き上がっています。
全国社長の平均年齢が思いのほか若いのは、休業・廃業・解散会社の件数と社長の年齢に何か関係と理由がありそうですね。
@2015年の休業・廃業・解散件数は、2万6,699件(倒産件数8,812件の3倍)
A倒産の減少ぶりが際立つなか、休業・廃業・解散は高水準を持続
B倒産と休業・廃業・解散の合計は、リーマン・ショック直後の2009年(4万877件)
には及ばないものの、依然として3万5,000件以上で推移
以上の調査数字から、倒産に至る前に自主的に企業の活動を停止しているのではないか、事業の継続を断念している社長が増加しているのではないかということが考えられます。「先が見えない、これ以上悪くなる前に、自己防衛的に」という理由で会社経営をストップ(断念)している高齢経営者が増加しているということが推測できます。
もう、小林さん!前段が長いよ〜!とお叱りを受けそうなので、結論です!。