ようこそ。
東京都板橋区中板橋の行政書士事務所(小林)がお届けする『事業計画書のつくり方』です。
銀行からの借入や融資。補助金の申請。各種の承認申請。に欠かせない事業計画書。
その事業計画書の書き方と作成方法について、触れてみます。経営に携わる様々な方々に少しでもご参考にしていただければ幸いです。
事業計画書のつくり方【後編】では、
『今後の事業展開(新たな取り組み)の内容〜その具体的な計画の中身』について、取り上げていきます。
■事業計画書の全体像と構成要素
後編では、事業計画書の完成を目指し、FからLについて進めていきます。
Let's Go!
F今後の事業展開の内容(全体のしくみ・概要)
@〜Eまでで、会社の過去から現在の分析を行い、今後の方向性と課題が抽出されています。そして、今後の事業展開の骨格が示されました。
ここからは、会社の未来を記述していきます。今後の事業展開とは、新たに取り組んでいく新規事業のことです。その全体像(しくみや流れ)を記述します。
全体のしくみや流れは、文章に加え、図やイラストを用いて表現することでわかりやすくなります。
また、新たな事業が市場の中でどの程度の位置づけになるのかを示すため、
市場動向や市場規模のデータ情報を掲載します。これらのデータは、専門書やインターネットから探します。信用性の高い公的機関や研究所等が発表しているデータが望ましいです。掲載に際しては、「○○○○年○○省○○○統計より抜粋」を必ず記載し、
データ情報の発行元を明確にします。
G今後の事業展開の内容(商品・サービスの詳細)
Fでは、新たな事業の全体像について記述しました。次に、新たに開発する商品、それに伴うサービス態様について、各プロセス毎に分けて詳細を記述します。
【例えば】
・「商品の特徴(開発の方法)」
・「お客様への提案スタイルと設計方法」
・「サンプル作成」
・「製品品質を高めるための○○○○導入」
・「外注業者と連携する部分」
・「当社のノウハウの活用」
・「お客様への納品について」 etc.
G+α『メリットの強調』で魅力アップ!
事業計画書の核である今後の事業展開(新たな事業)の全体像を示し、その特徴についても具体的に示しました。あとは、計画実現に向けての実際の行動について記述すれば完成です。
でも、その前に!新たな事業がもたらすメリットを記述しましょう。
「自社のメリット」「お客様のメリット」「同業者や外注先のメリット」など、新たな事業を行うことでの良い点を伝えましょう。メリットがあるということは、その事業をすることに社会性があるということでもあります。また、メリットは他社との差別化の根拠にもなります。
新たな事業のメリットで事業計画書の魅力アップを図りましょう。
G+αα『新規性・実現性・採算性・社会性』の存在で、さらに魅力アップ!!
新たな事業のメリットも書きました。では、いよいよ、完成に向け次へ進んでいきましょう。
でも、でも、その前に!新たな事業の可能性について考えてみましょう。
新たに取り組もうとしている事業内容に「新規性」「実現性」「採算性」「社会性」が備わっていれば、その事業の価値は大きなものになります。
新たな事業を展開する意味(付加価値)を伝え、さらに事業計画書の魅力アップを図りましょう。
H販売計画
ここまで来たら、事業計画書の完成は目前です!
あとは、実際に想定している具体的な計画を書いていくだけです。それでは、販売計画を記述していきます。
新たな事業における商品の展開方法、営業方法についての記述になります。
「誰に(ターゲット)に対し、どのようなツール(道具)を使って、商品やサービスを展開していくのか」を明確にします。
・ターゲット(エリア、顧客)
・営業活動内容と営業ツール
・販路および販売チャネル
・料金メニュー
・その他アフターフォロー体制や特徴的な販売スタイル etc.
I設備投資計画
設備投資計画です。新たな事業の展開に際して購入する設備について記述します。
購入資金は、
「自己資金なのか」「新たな資金調達なのか」を明確にします。尚、資金調達の場合は、その調達方法や調達先を記載します。
J人事/組織計画
人事と組織に関する計画です。会議体の構成や教育体制、新たな部署の設置などです。増員や新設する部署を組織図を用いて記述します。
新たな事業の推進には、人材の育成やそのための教育計画が欠かせません。会議体の構成や教育体制についても触れておくと良いでしょう。
K売上/利益計画
後半の山場。売上利益計画です。
(ここで事業計画書の作成をストップしてしまったり、挫折する方が多い箇所です。頑張ってほしいところです。)
売上/利益計画では、数字を根拠にして、会社の未来の姿を表現していきます。
売上を考える基本は
【売上】= 単価×数量 です。
1時間に何個売れるか、1日に何個売れるか、1ヶ月に何個売れるか、そして1年を通じて何個売れるのかを予測(シュミレーション)し、検討します。
飲食店ならば、席数や回転率を考慮します。製造業ならば製品毎や得意先毎に、1時間・1日あたりの製造可能数量や注文数量を考慮し、売上予測を立てます。
次に、コスト。経費の予測と検討です。
固定費と変動費に分けて考えると良いでしょう。
固定費は、人件費・賃料など、
売上があろうがなかろうが発生する費用です。
変動費は、材料仕入れ・運送料など、
売上が増えれば連動して増える費用です。
売上から経費を引けば、利益です。
【利益】= 売上 −(固定費+変動費)
↑この式は、会社経営のみならず家計の収支の考え方に至るまで、お金のやりくり全体に共通する基礎となる式です。必ず憶えておいてください。
では、売上利益計画のイメージです。
まず、新たに取り組む事業(新商品や新サービス)について作成します。
次に、既存事業の推移を検討し、作成します。
最後に、新たな取り組み事業と既存事業を合体させます。
残るは、新たな事業計画の行動スケジュールの作成です。事業計画書の完成は、目の前です!
L行動計画
ここまで記述してきた計画実現に向けての行動スケジュールです。PDCA(進捗の把握やチェック機能)のツールとして役立てるように作成しておくのがポイントです。
作成に際しては、月単位で考えるのが良いでしょう。
そして、この行動計画は文書で書くのではなく、表や図で表現し、
ひと目で全体スケジュールと個々のスケジュールを把握できる形式にします。
お疲れさまでした。
誤字脱字のチェックを忘れずにお願いいたします。
完了!
事業計画書は、その内容が相手に伝わり、理解されなければなりません。単なる文章の羅列では、いくら中身が優れていても理解度は半減します。できるだけ相手に伝えるためにも、見た目の工夫が必要です。事業のしくみや全体像を表現するには、文章に加えてイメージ図の活用が有効です。箇条書きや図を織り込み、見る人がわかりやすく、ビジュアル面からも目を惹く内容にすることがとても大切です。
事業計画書は、銀行からの資金調達や補助金申請のためだけではありません。会社組織が、新たな取組みを進めていくには、従業員の力が必要となります。計画のスタートは、新たな取組みの内容を従業員全員で共有することからです。
事業計画書は、社内への説明書であり、進めていく過程での行動指針にもなります。そして、事業計画書の作成を通じて、頭の中のイメージだけでは気づかなかったことに気づくことで整理され、計画の精度が上がっていくことも大きな利点です。